Toshiba B type




リボンマイク

・東芝製
・1950年代末~60年代を通して生産
・当時は万能マイクの位置付け


Toshiba B type はいわゆるリボンタイプのマイクです。
リボンマイクは厳密にはダイナミックマイクの一部ですが、音を拾うダイヤフラムにアルミテープ等の薄い幕を使っているのが特徴です。

ケースを開けると、金属フィルムの幕が縮れながら垂れ下がっています。それをリボンと呼んでいます。
リボンの振動を電気信号に変換して出力するため、構造的に出力が弱いマイクです。

また、リボンは突発的な振動に弱く、落下などの強い衝撃や、強風等を当てると、千切れてしまいます。
そのようなことから、昔からある放送局、スタジオでは、マイクは両手で扱い、
くしゃみは絶対に当ててはならないという厳しい規則があります。
リボンが切れてしまったら、張り替えるしかないのですが、それのできるマイク職人がもうほとんどいないそうです。

また、60年代当時、ファンタム電源はまだ存在しませんでした。
繊細なマイク信号を通すケーブルに、48Vもの電圧をかけるなんてことは、想像すらできない時代です。
そのため、骨董品リボンマイクにはファンタム電源への耐性がありません。
全てのリボンマイクがそうであるとは言いませんが、中には48Vをかけた瞬間にリボンが切れてしまうマイクもあるそうです。
使用前にはファンタムがOFFになっていることを確認し、念には念を入れて、数分間放電してから接続します。


リボンマイクはコンデンサーマイクが普及する70年代まではよく使われていたマイクとのことですが、
私が現場に立った2000年代初頭には、完全な骨董品扱いでした。

リボンマイクは構造上、ダイアフラムの質量が小さいため、繊細な音が拾えると考えられていますが、
突発的に発生する小さなノイズは拾えないようで、そのようなものは無視します。
例えば、ボーカルのリップノイズ等はあまり拾いません。

同じような理由でアンビエントを拾い難くなるためか、リボンマイクで収録した音像は、近く感じます。
クラシカルマイクには、このように意図しなかった効果が得られるものがたくさん在ります。


先に書いたように、リボンマイクは物理的構造から極めて繊細な音を拾うことのできるマイクです。
近年ではそのような特徴を狙って、再生産が始まっています。
新しいリボンマイクはファンタムに対応したプリアンプが内蔵されている物が主流です。
間違えてファンタムを送って壊してしまうような事故もなく、低いゲインに悩まされることもありません。


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