GRACE DESIGN m201 ADC factory




マイクプリアンプ、M/Sデコーダー、A/Dコンバーター


GRACE DESIGN社はアメリカの音響メーカー。1994年設立と音響機器ブランドとしてはまだ新しい会社です。

私とGRACE DESIGN製品の出会いは2003年、ヘッドフォンアンプとしてm901という製品が発売された時です。
業務用器材の展示会でその音を聞き、驚愕したのを覚えています。
今まで聞いて来たベッドフォンの世界とはまるで別物の世界がそこにありました。

同時に驚いたのは、ベッドフォンアンプ単体で税別20万円弱という価格。
むしろ、ヘッドフォンアンプだけでこんなに音が変わるという事実を知った瞬間でもあり、
買えないのなら自作しようかと回路図を色々と調べたりもしました。
(結局自作には至らず。)

2017年現在、オーディオの世界ではヘッドフォンアンプがブームのようですが、
その先駆者たる製品を世に送り出したメーカーがGRACE DESIGN社でした。


プロオーディオの世界では、LUNATEC V2(およびV3)というコンパクトマイクプリアンプが有名で、
世界中のモバイルレコーディング環境で使われました。
小さく、バッテリー駆動も可能であるけれど、スタジオクラスの音が録れる機材です。
(現在も現場では使われていますが、既に廃番?)

製品の宣伝文句としてよくある「スタジオクラスのモバイル機器」を地で行っている製品は実際にはそんなに多くありません。
LUNATECはまさにそれですので、世界中でヒットしたのも当然です。
内部を見れば作りの丁寧さがわかります。
回路設計の優秀さが必要なのは当然として、本当に大切なのは良質な部品で丁寧に作ることなんだと思います。
そこが最もコストのかかるところですから、単純に回路をコピーしただけの製品ではダメなんです。


GRACE DESIGN m201 ADC factory は LUNATEC V3 のスタジオ設置用拡張版といえる機材です。
LUNATECシリーズでは小型化するために諦めていたものを諦めずに、
最大限の理想を詰め込んで作ったらこうなったんでしょう。
徹底した最上位のパーツのみで作られ、手作業のハンダ付けも熟練の職人技で鑑賞に堪えるほど美しく仕上がっています。


音質は想像とはちょっと違って、アナログの質感がしっかりとあります。無色透明とは違う世界です。
そして、想像通りの高解像度、スピード感、程よく広いレンジ。
暖かくなる訳でもなく、冷たくなる訳でもない。湿っぽくも、乾いたりもしない。勝手に奥行きを変えたりもしない。
あえて言うのなら、真っ白な和紙のような質感。
何にでも使えすぎて、何に使おうか考えてしまう。むしろ、悩むくらいならこれを使おう。全てのチャンルこれでもいい。


GRACE DESIGN m201 には、マイクプリとMid Sideデコーダーのみが搭載された「m201」と、
それにA/Dコンバーターが搭載された、「m201 ADC factory」があります。
私はマスタリング用のA/Dコンバーターが欲しかったので、ADC factoryを選びました。
元々オプションの設定であるらしく、マイクプリとは全く別系統の入力が付いています。

切り換えで内部接続することも可能ですが、ADCだけ使いたいときには、マイクプリの回路は通りません。
ADCもマイクプリ同様に色づけや硬軟が無く、昔使っていたdCS900を思い出しました。


クロックも良いものが搭載されているという前情報があり、
しばらくは本機をクロックマスターにして、ROSENDAHL nanosyncsから各機材に分配していました。
しかし、どうもしっくり来ないので、慣れ親しんだnanosyncsマスターに戻してしまいました。
善し悪しではなくて、うちの機材たちとの相性の問題でしょう。

(こう書くと何となく違う程度に思われそうですが、クロックマスターの違いは絶大です。)


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